世界座標の要素数はピクセル座標の要素数を超過する場合がある。
例えばロングスリットの分光観測データは通常2次元で、スリットは(空間)ピクセル座標方向に置かれ、分散方向が(分光)ピクセル座標方向となる。
この場合、分散方向の表現は単純で 1分光ピクセル座標は 1分光世界座標(周波数、波長、又は速度)に変換される。
一方、スリットは天空でどの方向にも向く可能性があるので、スリットの長さ方向に沿ったピクセル座標は 2つの空間(角度)座標、典型的には赤経・赤緯、に変換される。
この問題は初期のFITS では縮退した軸、即ちNAXISj = 1 と AIPS などで使われた CROTAi によって表現された。
例えば上記のロングスリットの例ではNAXIS= 3、NAXIS3 = 1、CTYPE1 を分散軸、CTYPE2 を赤経、CTYPE3 を赤緯と考えることができる(CROTAi は今では PCi_j で置き換えることができる)。
しかし、こうした縮退した軸を使うやり方は、例えば 2次元のイメージを表示するソフトウェアが NAXIS= 3 を読んで表示できなかったりする問題がある。
そこで、こうした世界座標の次元に関する問題に、縮退した軸を使わずに対応するために次のキーワードを予約する。
WCSAXES(整数)
これはヘッダーにある WCS 関係のキーワード (CRPIXj, PCi_j 又は CDi_j, CDELTi, CTYPEi, CRVALi 又は CUNITi など) のうち最もインデックスの大きなものの値を特定する。
デフォルトの値は最も大きな NAXISであり、FITS ヘッダーに出てくるこの種のキーワードの最大値である。
Osamu Kanamitsu
2019-02-15