次のページの表12のようなヘッダのファイルを例に具体的な計算例を示す。
これは通常の光学イメージのファイルであり、
からなることがわかる。
CRPIXjキーワードから参照点はピクセル座標の (256, 257, 1, 1) であり、PCi_jaキーワードがない(=デフォルトの単位行列) ことから回転や曲がりはないことがわかる。
これらのことから中間世界座標は次のようにして求められる。
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(23) |
次に 'VELOCITY' と 'STOKES' は線形軸なので簡単に計算でき、次のようになる。
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(24) |
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CTYPE1 と CTYPE2 によれば、座標の投影法が TAN (gnomonic) なので、zenithal 投影であり、
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(26) |
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で native 座標の経度、緯度が計算できる18。
CTYPEia が RA と DEC で始まっているので赤道座標であり、 RADESYSa, EQUINOXa により、IAU 1984 システムであることがわかる。
また、参照点は zenithal 投影なので native 座標の北極であり、それに対する CRVALi により
,
である。
赤道座標の北極は native 座標の経度
であることが LONPOLEa からわかるので、赤経・赤緯は、(19)式から、
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となり、結局イメージの 3つの隅の座標は、
パラメータ | 単位 | SEの隅 | NEの隅 | NWの隅 |
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pixels | (1, 2) | (1, 512) | (511, 512) |
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pixels | (1, 1) | (1, 1) | (196, 1) |
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deg |
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deg |
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deg |
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deg |
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deg |
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deg |
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Velocity | ms![]() |
500000.00 | 500000.00 | 1890018.50 |
Stokes |
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となる。
ここでは WCS で書かれた FITS ヘッダの解釈の例を上げたが、原論文には実際の観測データを WCS を使った FITS ファイルにどう書くかについても例が挙げてある (例えば COBE/DIRBE や ロングスリット のデータの WCS ヘッダの構築法など)。 興味のある方は参照されたい。
Osamu Kanamitsu