タイムスケールは時間的な参照フレームを定義する。タイムスケールを記録するグローバルキーワードは、
TIMESYS (文字列、デフォルトは UTC)
であり、キーワード値としては、7.5節に載せてあるタイムスケールが認識される(7.5節の説明中に出てくるGPSとGMTも含まれる)。また、7.5節では世界時を UT と載せているが、PaperIV ではUT1がそれにあたり、他にUT()表記も認識される。7.5節にない値としては、シミュレーションデータなどを想定した LOCALも設定された。PaperIVでは付録Aに各値についての詳細な記述がある。
座標のタイムスケールと、その力学的等価物との関係は次のように定義できる。
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(35) |
ここで は秒、 、 、 、 s。
現代のほとんどのコンピュータOSは時間については、POSIX 準拠で、Nework Time Protocol (NTP) を通じて UTC に同期しており、FITS データのタイムスタンプに一般的に使われるが、特にうるう秒近辺では、POSIX や NTP の精度の制限に注意する必要がある。 タイムスケール値の中では UT1 は本質的には(地球の自転の)「角度」(`a clock')であり、他は SI秒の「カウンタ」(`chronometer')であり、UTC がうるう秒を通じて両者の橋渡しをする。
関連して、イメージ配列の時間軸や、テーブルカラム、ランダムグループでは、タイムスケールは CTYPEia やバイナリテーブルでそれに相当する PTYPEi に記録されたタイムスケールでオーバーライドされるかもしれない。 これらのキーワード(TIMESYS, CTYPEia, TCTYPn, PTYPEi) はタイムスケールとしてリストされた値を持つと仮定される。後方互換性のため、TIMESYS と PTYPEi を除いては、値として TIME(大文字、小文字の区別なく) が仮定されるかもしれない。その場合は、タイムスケールとしては、TIMESYS か、それがなければデフォルト値の UTC を仮定する。