IRAF

: [NOAO 開発の天文解析の標準的ソフト]

IRAF (Image Reduction and Analysis Facility) は NOAO で開発されている天文解析用のソフトウェアパッケージである。 専門的な解析に必要なタスクが各種揃っており、特に日本の光赤外分野では研究者の使うデファクトスタンダードとなっている。 ハッブル望遠鏡データの解析用の STSDAS (The Space Telescope Science Data Analysis System) などのアドオンパッケージも存在する(http://www.stsci.edu/institute/software_hardware/stsdas)。 当初はワークステーションを主とする UNIX プラットフォームで開発されていたが、Linux を初めとする PC 上で動作する UNIX (PC UNIX) でも稼動できるようになったため、個人でも導入・使用が容易になった。 最新版は、2.16 で、各種 Linux(32ビット、64ビット), Mac OS X(32ビット、64ビット)用ディストリビューションとソースコードが公開されている。

情報は以下から入手可能。

http://iraf.noao.edu/


r.5
\includegraphics[width=0.8\textwidth,keepaspectratio,clip]{ximtool}
    (ximtool で画像表示中の例)
IRAF そのものは解析用のパッケージであり、画像表示などの機能用には、X11IRAF と呼ばれる GUIパッケージが用意されている。 これには端末ソフトの xgterm、画像ブラウザの ximtool、テープデバイス用の xtapemon などが含まれている。 IRAF 本体と同様の各種プラットホーム向けの版が用意されており(PC UNIX 含む)最新バージョンは 2.0 である(2.0 では X Window での24ビット表示対応になった)。

単独で公開されているわけではないので、前節のブラウザには取り上げていないが、ximtool は FITS ブラウザとしても利用でき、特徴は以下のとおり。

    ・IRAF 形式および FITS フォーマットの画像を読み込める
    ・IRAF と通信できる
    ・GIF 等の形式の画像として書き出しも可能
    ・色、階調の変換、拡大縮小、方向の反転等ができる
    ・印刷も可能 (カラー, モノクロ)
    ×WCS に対応していない
    ×正確な画素値が読めない
    ×表示の最小, 最大値が調整できない

近年、スクリプト言語 Python 普及に伴い、IRAF のコマンドを直接使う代わりに IRAF の関数を Python から利用するためのソフトウェア PyRAF が STScI で開発されており利用者が増えている。詳細は http://www.stsci.edu/institute/software_hardware/pyraf から。



Osamu Kanamitsu
2019-02-15