観測は時空間の1つのイベントである。キーワード TREFPOS で特定される参照位置は、観測が行われた場所もしくは光-時間の相関がある時空の場所であり、時間が有効に働く空間位置を特定する。これは GEOCENTER や TOPOCENTER などの標準的な位置かまたは特定の座標で指定された空間点である。
TREFPOS (文字列、デフォルトは TOPOCENTER)
一般的に許容される標準値は次の通り。
TOPOCENTER | 観測が行われた場所(デフォルト) |
GEOCENTER | 地球中心 |
BARYCENTER | 太陽系重心 |
RELOCATABLE | シミュレーションデータにのみ使用 |
CUSTOM | 観測場所ではなく座標値によって特定された位置 |
他により特殊だが許容された値として、HELIOCENTER, GALACTIC, EMBARYCENTER, 各惑星中心を指定する値 などがある。タイムスケールと参照位置は任意に組み合わせることはできない。例えば BARYCENTER はタイムスケール TDB と TCB とのみ組み合わせるべきであり、これらと組み合わせるべき唯一の参照位置でもある。互換性のある組み合わせは PaperIV の表4参照。
バイナリテーブルでは異なるカラムは完全に異なる時間座標フレームを表すかもしれないが、各々のカラムは1つの時間参照位置しか持てないので、線形性を保証するため次のキーワードが TREFPOS をオーバーライドするかもしれない。
TRPOSn (文字列)
これらのキーワードのどれかの値が TOPOCENTER だったら観測所位置が特定される必要がある。PaperIII で定義された地球中心に対する ITRS20直交座標(OBSGEO-X, OBSGEO-Y, OBSGEO-Z)が強く推奨されるが、同様に定義された測地的座標(OBSGEO-B(度単位の緯度、北が正), OBSGEO-L(度単位の経度、東が正), OBSGEO-H(m単位の高度))も認識される。もう一つ許容されるのは軌道の ephemeris ファイルであり、OBSORBIT(文字列、URI, URL もしくは軌道 ephemeris ファイル名)で表す。 HDU では 1セットの座標のみ許容される。直交ITRS座標()は測地的座標()から次のように導かれる。
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(37) | |||
(38) |
ここで、 , 、 は長半径、 は扁平率。